「綾鷹と生茶はどっちが美味しいですか?」
ワタシは日本茶インストラクターです。急須で淹れるお茶の教室やセミナー講師をしています。
などと言いますと、このような質問を何度か頂きます。
コンビニにずらりと並んだペットボトルのお茶、季節ごとの新しい商品や、ステキなネーミング、
最近はトクホなどの機能。あれこれ迷う楽しみがある世の中に、
ワタシは急須で淹れるお茶を楽しんでいます。
そして、雑誌やテレビの特集を見ていても、ペットボトル需要の増加と比例して、
急須でお茶を楽しむ人が増えているのもあきらかな事実。
ワタシは、少し前までは外資系金融グループのサラリーマンでバリバリという音が出ていたんじゃないか?というほど働いていました。
朝から晩まで重なるミーティングや、全国各地への出張に追われる中で、ブレイクの度、コンビニの冷蔵ケースの前で、
どれが美味しいかな?と、ペットボトルのお茶を選んでいた一人です。
タイトルの「綾鷹と生茶どっちが美味しい?」という質問ですが、
まず感じるのは、やっぱりペットボトルの浸透は目覚ましいですな!という感動です。
ワタシは、東京都23区立の小学校5年生の家庭科のクラスで「お茶の授業」を担当することがあるのですが、
先日都内の小学校の教室で「お茶にはいろんな種類があります、どんなお茶があるか知っていますか?」
と、問いかけたところ、
はい!「ほうじ茶」
はい!「緑茶」
はい!「玄米茶」
はい!「おーいお茶!」と元気な声が挙がりました。
さすが小学生男子。教室は笑いに包まれました。いつの時代も最高に面白いですねw
小学生男子が本気の回答だったのか、盛り上げるためだったのかわかりませんが、
よじれそうなお腹を抱えながらも、やはりペットボトル商品の浸透は目覚ましいと思いました。
さて、本題に話を戻します。
ペットボトルのお茶はどの商品が美味しい?という質問は
友だちや知人は男女問わずもちろんのこと、
お茶のセミナー講師を務める際に、妙齢の女性からも、実によくいただく質問です。
質問、というよりも「興味がある」というところでしょうか?
ぶっちゃけてしまうと、ペットボトルの緑茶は自分で率先して買わないんです。
何故でしょうね?
「ペットボトルなんてワタクシ飲みませんのよ」という否定的な感情ではまったくありません。
出されれば遠慮なく頂きます。コーラと2択だったらおーいお茶です。
あ、コーラの日もひょっとするとあるかもしれませんがw
先日、静岡のお茶農家さんのところへ商品開発のための出張に行って参りました。
そのときに、コンビニに立ち寄りましたが、買ったものはワタシもお茶農家さんも緑茶以外のもの。
「そういえば、ペットボトルのお茶って買います?」と聞いてみました。
少し考えた後、お茶屋さんは「そういえば、買わんですね」と。
「やっぱりそうですか、ワタシもです。何でですかね?」と突っ込んでみましたが、
「ナンデダロ?」と首をかしげて終わり。
その後は少しペットボトルのお茶に関する話をしていたところ、
ワタシもお茶農家さんも
・緑茶はそういえば買わない
・決して否定はしていない
・ジャスミン茶・麦茶・ほうじ茶は買うことあり
という共通項がありました。因みにおーいお茶とコーラの場合はコーラだそうですw
ジャスミン茶・麦茶・ほうじ茶、この辺りは「香りを楽しむお茶」というところから
ペットボトルにしたときに「無難」にまとまる、ということがわかります。
因みに余談ですが、
お茶農家さんは、抹茶ジェラートの有名店でも「マンゴーのジェラートと柑橘のジェラート」を召し上がっていましたw
ワタシは日本一濃い抹茶と、玄米茶のジェラートをオーダーしました。
消費者サイドのワタシと生産者さんとの境界線は、この辺かもしれませんねw
さて、もういい加減、本題の問題の核心へと歩を進めますね。スミマセン。
タイトルの「どっちが美味しいか」ですが
「飲まんし、知らんがな」とエセ関西弁で答えて終わらせたいところですが、
せっかくですので、この問題に真摯に取り組んでみることにしました。
キリン「生茶」
コカ・コーラ「綾鷹」
伊藤園「おーいお茶 濃い茶」
コンビニで購入して参りました。
まず、生茶と綾鷹の2種と、おーい濃いは別物として考えないといけません。
伊藤園「おーいお茶 濃い茶」はカテキン2倍という表示がありますので、
たぶん、カテキンを追加してるか何か、ですので味は当然違うはずです。
ヘルシア緑茶を飲んだことがある方ならお馴染みの味ですが、
カテキンの苦い味がするのが、伊藤園「おーいお茶 濃い茶」です。
この味は好きか嫌いか別れる苦さですので、ジャッジが難しいところ。
味(苦味)がハッキリしたものがお好きな方は迷わずこれをおススメします。
では、一般的な緑茶として展開する「生茶」(写真左)と「綾鷹」(写真中央)を比較。
まず飲む前の見た目だけですが、とても残念なことが判明。
「急須で淹れたようなにごり」がどーのこーのって謳う綾鷹よりも、生茶のが濁っているという衝撃の事実…。
※写真手前が綾鷹、左奥が生茶。に、濁り。。。。
まぁ、濁ってれば美味しいというわけではありませんから。
ということで飲んでみました、、、
うーん、やっぱりどれも「ペットボトルのお茶の味」がしました。
ビタミンCっぽい味っていうか、お茶以外の味っていうか、なんて言うか、あの味です。
綾鷹も生茶も同じです。
明確な違いは難しいですね。微妙な差はありやなしやですが、
基本的にどちらもペットボトルのお茶の味です。
そもそも、よくこの質問があるということを考えたとき、
ワタシよりよっぽどペットボトルのお茶を飲んでいる方々がどっちが美味しいか知りたいってことは、
やっぱり甲乙つけ難い(大差ない)、、、ということでしょうw
というわけで、以上オシマイ!
なーんて、これでは詐欺みたいな記事になってしまいますね、ごめんなさい。
詐欺記事はいけませんのでオチはつけますね。
本来緑茶には様々な「大差」があります。
葉っぱの栽培方法が違う、摘んだ葉っぱの加工方法が違う、葉っぱなのか茎なのか、というお茶の部位が違う、そもそもお茶の葉の品種(お米でいうところの、コシヒカリやササニシキにあたる部分)が違う、他にも産地やお茶が取れる時期でも変化があります。次は淹れる際の条件の違いがあります。水の質、温度、量、そして淹れる人。
黄色いお茶も緑色のお茶も、みるからに色が違いますが、どちらも緑茶です。
これは摘んだ葉っぱが「売っているお茶」になるまでの加工の方法の違いです。値段の高い低いではありません。
ワタシもお茶の勉強を始める前、コンビニでペットボトルのお茶を買うにあたっては、
美味しいと言われるお茶が飲みたかったですし、どれが美味しいか教えて欲しいと、普通に考えていました。
たぶんあの頃のワタシのままであれば「綾鷹と生茶はどっちが美味しい」かも知りたかったと思います。
今は、あくまで個人的な意見ですがこのペットボトル問題に関しては
「大差ない」というジャッジができます。
これは、急須で淹れたお茶をいくつか飲んでみないと、できません。
比べる、そして判断する、ということは急須で本来のお茶を楽しんでこそ、です。
まずは、冷蔵庫の中で休眠しているお茶でも構いませんので、飲んでみてください。
今日まず1杯。
そして明日もう1杯。
飽きたら、別のお茶を買い求めてみましょう。
昨日まで飲んで飲み飽きたあのお茶とは違う味がするハズです。
そしてまたそのお茶を飲み飽きたら、元のお茶を飲んでみましょう。
どう感じるでしょう?
今のあなたに合った味なら「美味しい」と感じるでしょう。
そうではなければ、あれれ?こんな味だっけ?イマイチだなーとなります。
美味しいお茶の淹れ方に正解はありません。
それは「美味しい」に正解がないから。
だから、今日飲んだお茶が明日美味しいとは限らないんです。
美味しいお茶を教えてもらうことより、
このお茶を美味しいなと感じることや、
そのお茶を美味しいと感じる日と、美味しいと感じない日があることに気づいたり、
そんなことの方が楽しいのではないかと思います。
忙しい日常だからこそ、
美味しいお茶を教えてもらって飲むことよりも、
美味しいお茶を見つける時間があったらいいと思いませんか?
お茶の楽しみ方は、たくさんあります。